介護職が高齢者のケアにあたる際には、介護職の手が冷たく、しかも硬く緊張していると、高齢者にそれが伝わってしまうことがあります。そうすると高齢者への微妙な不快感へとつながり、介護職の手と高齢者の身体の間に隙間ができることにつながります。そうした仕事の仕方では、高齢者に触れている箇所の圧が高まりやすくなるため注意が必要です。
介護職が常日頃からリラックスしていれば血流が良くなるとともに、緊張もほぐれて温かく柔らかい手をつくることが可能です。介助リスクを軽減するためにも、仕事中には、このようなことにも配慮していくことが大事になります。
そして、高齢者は関節を取り囲む組織の柔軟性が低下し、関節が硬く細い特徴があり、もろくなっています。可動域以上に無理に動かそうとすると、痛みや緊張が生じるだけでなく、筋断裂や骨折を招くこともあるという認識をもっておくことが大切です。
抵抗感があるときは、それ以上動かさないことが重要です。加えて、素早く動かすと、反射的に身体には防御反応が起こり緊張が高まるため、高齢者の身体は、ゆっくりと動かすことが大切です。さらに、過度な緊張を引き起こさない技術として、支えるという感覚を持つのもポイントになります。重力により身体は上から下へとひっぱられるため、上から持ち上げるのではなく、下から広い面積で支えると心理的に高齢者もリラックスでき、不要な筋緊張も緩和されやすくなるでしょう。